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実業家として有名な前澤友作氏が、2020年1月に「総額10億円のお年玉企画」として、Twitter(現X)で大規模な「お金配り」キャンペーンを実施したことが記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。
お金配り企画は、Twitterで「フォロー、いいね、リツイート」をするだけでお金がもらえるチャンスがあると考えると、非常に夢がある企画です。
ですが一方で、「お金配り」キャンペーンを悪用した詐欺行為が横行していることをご存じでしょうか。
一時期、当サイトにも「Twitterでお金配りの企画に応募したら、詐欺被害に巻き込まれた」というご相談も多く寄せられていました。
今では、「お金配り企画=詐欺被害に巻き込まれる」と考える方も増えているようですが、「今回は本当にもらえるかもしれない」と希望をいだいて応募してしまう方が後を絶ちません。
そして近年、なんと新たな手口で、「お金配り企画に参加したら特殊詐欺の受け子として逮捕された」という事例が発生したというのです。
そこでこの記事では、
- お金配り詐欺の仕組み
- お金配りで口座が犯罪利用される手口とは
- お金配り詐欺がなくならない理由
- お金配り詐欺の被害に遭った場合の対処法
これらについて、詐欺返金110番が詳しく解説します。
Twitter(現X)お金配り詐欺の目的とは
お金配り企画を騙ったお金配り詐欺は、いったいどのような手口で行われているのでしょうか。
その手口を詳しく解説します。
フォロワーを増やしてアカウントを販売する
詐欺師がTwitterで「お金配り企画」をする目的の一つに、フォロワーを増やしてアカウントを転売するというものがあります。
フォロワーが多いTwitter(現X)アカウントは、高値で売買される傾向にあります。
お金配り企画では、「フォロー、いいね、リツイート」を条件にしていることが多いため、参加者が多ければ多いほど、フォロワーを集めることができます。
そしてフォロワーがいっぱい集まった時点で、アカウントを販売したり、アカウント名などを変更して全く別の案件のアカウントとして再稼働させたりする手口が確認されています。
個人情報を収集して販売する
詐欺師がTwitterで「お金配り企画」をする目的のひとつに、「お金を配るため」と称して、住所や氏名といった個人情報を集め、犯罪利用をするための名簿リストとして販売するというものが確認されています。
販売された個人情報は、詐欺サイトの責任者名や所在地として勝手に使われたり、特殊詐欺の被害に遭ったりなど、様々な被害に巻き込まれるリスクがあります。
そのため、「お金配り企画」で個人情報を求められた場合は詐欺だと考え、相手に個人情報を教えないようくれぐれもご注意ください。
「お金を配るため」と称してお金を騙しとる
Twitterで見られるお金配り詐欺では、「お金を配るため」と称して金を騙し取る手口が確認されています。
- お金を振り込むための手数料を振り込むよう要求する
- 海外サイトへ誘導し、クレジットカード情報を入力させて不正に利用する
など、「お金を配るため」と称して、お金を騙し取ったり、クレジットカード情報を盗んで不正利用するなどの手口が確認されています。
お金配り企画に参加した際、手数料などの名目でお金を要求されたり、クレジットカード情報の入力を求められた場合は詐欺だと考えられるため、騙されないようくれぐれもご注意ください。
特殊詐欺の振込先口座として使用する
Twitterで見られるお金配り詐欺で特に注意が必要なのが、「お金配り企画に当選したため口座情報を伝えたら、知らない間に特殊詐欺の振込先口座として悪用されていた」という被害です。
Twitterでお金配り企画に応募してきた人に対して、「当選したのでお金を振り込むための口座番号や名前を教えてほしい」などと連絡し、送られてきた口座情報や個人情報を、特殊詐欺の振込先の口座として使用するという、非常に悪質な手口が確認されています。
つまり、特殊詐欺で使用する口座情報を集めるために、偽のお金配りイベントが開催されているということなのです。
では一体、「お金配り詐欺」では、いったいどのような手口で犯罪利用をするための口座を収集しているのでしょうか。
次項で詳しく解説します。
お金配りで口座が犯罪利用される手口とは
「口座を犯罪利用される」と聞くと、闇バイトなどで「初めから犯罪とわかっていて口座を売る人がいる」というイメージがある方も多いのではないでしょうか。
ですが実際には、自らの意思で口座を売る人はあまり多くないのが実情です。
そこで特殊詐欺グループは、犯罪利用するための口座を効率的に集めるために、Twitter上で「偽のお金配りイベント」を企画し、銀行口座情報などを騙し取ることを考えたようです。
- Twitterでお金配り企画を開催する
- 応募してきた人に対し、「当選したので、お金を振り込むための口座番号や個人情報を教えてほしい」などと連絡する
- 相手を信頼させるため、数万円を振り込む
- その後、別の詐欺被害者から同口座にお金が振り込まれる
- すると詐欺師から「間違えてお金を振り込んでしまった。手数料として10万円を渡すので、手渡しで返金してもらえないか」と依頼される
- お金を引き出し、相手にお金を引き渡すことで、「受け子」としての役割が成立してしまう
一見、お金配り企画に参加して数万円、さらに手数料として10万円ほど手に入ったら、「お金配りに参加して良かった」と見えるかもしれません。
しかし実際には、数万円を手に入れた代償に、特殊詐欺という犯罪に加担させられたことになってしまうのです。
これはマネーミュールという手口で、特殊詐欺グループが資金洗浄をする際によく使われます。
マネーミュールとは、犯罪とは知らずに送金やお金の受け渡しの代行をしてしまい、特殊詐欺グループの資金洗浄に加担してしまうことです。
「お金配り企画」に応募しただけなのに、特殊詐欺の「受け子」や「出し子」として犯罪に加担させられる可能性があるのです。
そのため、「お金配り企画」に参加した際、口座情報や個人情報を求められた場合は、特殊詐欺に加担させられる可能性があるため、安易に情報を渡さないようくれぐれもご注意ください。
口座が犯罪利用されていると発覚した場合の対処法
「お金配り企画」に応募し、実際に数万円が振り込まれた後、多額のお金が振り込まれ、「そのお金を手渡しで返してほしい」などと言われた場合は、特殊詐欺の振込先口座として犯罪利用されていると考えられます。
もし相手に多額のお金を手渡しで返すよう依頼された場合は、相手に対して「銀行に組み戻しを依頼する」というのが正解です。
自身でお金を引き出し、現金を手渡ししてしまった場合は「受け子」や「出し子」として認定されてしまう可能性があるため、自分自身で対処しないようご注意ください。
また怪しいと感じた場合は、すぐ警察に相談・通報しましょう。
お金配り詐欺で受け子として逮捕された場合
Twitter(現X)で「お金配り企画」に応募し、知らず知らずのうちに特殊詐欺の受け子として逮捕されてしまった場合について解説します。
基本的には、特殊詐欺の受け子として逮捕された場合でも、詐欺に関与しているという認識がなければ無罪になるケースが多いです。
しかし、詐欺の認識がなかったとしても、未必の故意と認定された場合は逮捕される可能性が高いと考えられます。
「お金配りに参加し、詐欺と知らずに詐欺師にお金を手渡ししてしまった」と聞くと、被害者のように見えるかもしれませんが、警察からはネット詐欺に加担しているとみなされ、逮捕される可能性もあります。
また、すでにこの手の言い訳は特殊詐欺で逮捕された時の供述として使いまわされている可能性が高いため、本当にそうであったとしても、信ぴょう性が低いとして有罪を免れることは難しいと考えられます。
お金配り企画に応募する以外にも、多額のお金を移動するよう持ち掛けられた場合は、特殊詐欺の「受け子」や「出し子」として犯罪に加担させられてしまう可能性があるため、くれぐれもご注意ください。
お金配り詐欺の被害に遭った場合の対処法
では、偽のお金配り企画に参加し、お金配り詐欺の被害に遭ってしまった場合の対処法をご紹介します。
消費者センターに相談する
お金配り企画に応募したことがきっかけで、お金配り詐欺の被害に遭ってしまった場合は、消費者センターでご相談いただけます。
消費者生活センターは、様々な詐欺被害の相談を受け付けているため、的確な対処法などのアドバイスを受けることができるため、少しでも怪しい・おかしいと感じた際は、消費者センターまで連絡してください。
消費者センター
☎ 188 番
警察に相談する
お金配り詐欺の被害では、先述したように「特殊詐欺の受け子」として逮捕されてしまう可能性があります。
そのため、詐欺師に口座情報などを教えたり、実際にお金を移動するよう依頼された場合には、速やかに警察に相談するようにしてください。
また、口座の犯罪利用意外にも、金銭的な被害が発生した場合にも、速やかに警察へ相談、通報してください。
警察相談専用ダイアル
☎ #9110
お金配り詐欺には要注意!
この記事では、お金配り企画を謳ったお金配り詐欺の手口や対処法について解説しました。
Twitterで開催されている「お金配り企画」は、ほぼ100%詐欺であると考えられます。
「参加するだけなら被害は出ない」と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、参加するだけでも詐欺被害に巻き込まれる可能性があるため、お金配り企画には参加しないことが賢明です。
- 個人情報を悪用される
- 「お金を配るための手数料」などの名目でお金を騙し取られる
- クレジットカード情報を不正に利用する
- 特殊詐欺の振込先口座として悪用する
例年、年末年始にかけて特殊詐欺の被害は増える傾向にあるため、それに伴いTwitterでのお金配り詐欺も増えると考えられます。
お金配り企画には参加しない、応募しないことを徹底し、詐欺被害を防ぐだけでなく、特殊詐欺に加担してしまうことのないよう、くれぐれもご注意ください。