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近年、ポケモンカードはどこのカードショップに行っても軒並み完売、レアカードは高値で取引されるなど、空前の大ブームを巻き起こしています。
ポケモンカードの価値が急上昇したきっかけには、コロナ禍で対面でのポケモンカード対戦が難しくなった結果、コレクションとしての需要が高まったことが一つの要因として考えられています。
品薄の状態になると、転売目的やコレクション目的、純粋にポケモンカードを楽しむ人など、様々な人からの需要が増え、結果としてフリマアプリやカードショップなどで高値で取引されることになります。
そんな社会現象を起こしたポケモンカードですが、人気が高まり価格が高騰したことにより、全国でポケモンカードの偽造や盗難、詐欺などが相次いで発生しています。
そこでこの記事では、2023年10月に報じられたポケモンカードに関する詐欺事件について、解説します。
ポケモンカード詐欺の逮捕事例
2023年10月13日、フリマアプリで新品のポケモンカードセットを売ると装い、中身を価値の低いカードにすり替えてネットで販売したとして、職業不詳日用竜太郎容疑者(23)が逮捕されました。
警察によりますと、逮捕された男は2023年6月上旬ごろ、高額で取引されるトレーディングカードのセットを新品と偽ってフリマアプリ「メルカリ」に出品し、東京都に住む男性から約14万5000円を騙し取った詐欺の疑いが持たれています。
このトレーディングカードセットは、すでに製造販売が終了しているもので、「レアカード」が少なくとも1枚入っていることなどから、未開封の新品はフリマサイトやカードショップなどで高値で取引されています。
逮捕された男は、未開封の新品を装うため、ポケモンカードを専用機械で箱にフィルムを張り直して出品していたということです。
ポケモンカードは未開封の方が価値が上がるとされていることから、被害に遭った男性も当初は開封していなかったといいます。
しかし、自身が購入した後にも、男がメルカリ上で同じ文言かつ同じ商品を売っていることを発見し、他の購入者がメルカリの評価で詐欺を疑う声が多かったことから中身を確認したところ、入っているはずのレアカードが別のカードへすり替えられていたことから事件が発覚しました。
逮捕された男は容疑を認め、「相手も開封しないので被害に気付かないと思った」などと供述しており、メルカリの出品状況から、約50件、計約620万円を騙し取ったと見られています。
ポケモンカードは、未開封であることなどで価値が上がるとされ、警察は中身が確認されにくいことを悪用した犯行として、注意を呼び掛けています。
ポケモンカード詐欺の解説
今回ご紹介したポケモンカード詐欺の逮捕事例は、未開封の新品を装い、中身をすり替えてフリマアプリ「メルカリ」で販売し、お金を騙し取った詐欺事件でした。
近年、急激にポケモンカードの需要が伸びており、供給が追い付いていないことから、こうした詐欺事件が急増しています。
そこで、今回のポケモンカード詐欺の逮捕事例のポイントを解説します。
再シュリンク詐欺の手口
シュリンクとは、新品の商品などについてくる、ボックスをぴったり覆う透明なビニールのことです。
ポケモンカードは、シュリンク付き未開封の商品にプレミアム価格がつくことから、開封済みの商品に再度シュリンクをして新品未開封として出品する詐欺の手口が横行しており、再シュリンク詐欺と呼ばれています。
シュリンク専用の機械を購入することで誰でも簡単にシュリンクができてしまうことから、フリマアプリを中心に再シュリンク詐欺が急増しているため、フリマサイトで販売されているポケモンカードを購入することは非常に危険です。
ポケモンカードに限らずですが、人気で手に入らない商品をフリマアプリやオークションサイトで購入すると詐欺に巻き込まれる可能性があるため、公式で手に入らない場合は鑑定を行っているカードショップから購入するなどして、詐欺被害を防ぐようにしましょう。
ポケモンカード詐欺被害の返金方法
「ポケモンカード詐欺の被害に遭った場合、返金できる?」という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えしますと、被害状況によって異なりますが、返金を受けることは困難である事例が多くなっています。
ですが、可能性は0ではありません。
そこで、ポケモンカード詐欺で考えられる返金方法をご紹介します。
フリマアプリの補償制度を利用する
ポケモンカード詐欺でお金を騙し取られてしまった場合、フリマアプリによって異なりますが、フリマアプリ独自の補償制度が利用できる場合があります。
ただし、適用条件が細かく規定されていたり、補償対象にならないなど、すべてのケースに無条件で適用されるわけではありません。
そのため、ポケモンカード詐欺の被害に遭った場合は、ご利用のフリマアプリに連絡してみるとよいでしょう。
警察に被害届を提出する
ポケモンカード詐欺の被害に遭った場合、警察に被害届を提出することで、犯人逮捕につながる可能性があります。
ただし、犯人が逮捕された場合でも騙し取られたお金の返金請求は困難であると考えられます。
なぜなら、警察の役割は犯人を捕まえることであり、「民事不介入の原則」があるため、犯人の返済能力の有無にかかわらず返金請求には介入してくれないからです。
返金される可能性は低いかもしれませんが、警察に被害届を提出することは有効な手段ですので、まずは警察に相談してみると良いかもしれません。
少額訴訟を起こす
返金を求めるために、少額訴訟を起こすことも有効な手段だと考えられます。
少額訴訟とは、60万円以下の支払いを求める場合に利用できる簡易的な訴訟のことです。
少額訴訟は1回の期日で審理が完了するため、原告側の負担が少なく済むことが特徴です。
少額訴訟は勝率90%と言われており、勝訴した場合には少額訴訟を起こすためにかかった費用などを被告側に請求することができますが、証拠書類の作成など入念な準備が必要であるため、商品代金との兼ね合いも考えて検討するとよいでしょう。
ポケモンカード詐欺には要注意!
昨今のポケモンカードは、品薄かつ高値で取引されているため、転売目的で手に入れようとする人や、お金を騙し取ろうとする詐欺師に狙われやすい分野になっています。
近年は、メルカリやヤフオクなどのフリマサイトや、X(前Twitter)などのSNSを介して、個人間で簡単に取引できるツールが増えたことから、欲しい商品が手に入りやすくなった一方で、詐欺や詐欺まがいの手口による被害が急増しています。
きちんと鑑定を経て販売を行っているカードショップなどで詐欺被害に遭うケースは非常に低いと考えられますが、フリマアプリやSNSで取引をしようと考えられている方は、ポケモンカード詐欺にはくれぐれもご注意ください。
フリマアプリに出品されている商品の真偽を確かめる方法を調べるのではなく、
- 公式サイトや鑑定を行っているカードショップなど以外からの購入はしない
- フリマアプリに出品されている商品は詐欺の可能性を疑い購入しない
ということが大切だと考えています。
この記事を通して、一人でも多くの方がポケモンカード詐欺の被害を防げることを願っています。
ポケモンカード詐欺によく似たオークション詐欺の手口や返金方法はこちらの記事で解説していますので、あわせてご参照ください。