老人ホーム入居権詐欺が再び急増!実際の被害事例をもとに手口を解説
 

 

「老人ホーム入居権が当たりました」

「老人ホーム入居権を譲ってほしい」

 

近年、このような内容の嘘電話により、お金を騙し取られる老人ホーム入居権詐欺という手口が急増しています。

老人ホーム入居権詐欺は、「老人ホームの入居権を譲ってほしい」などと持ち掛け、最終的にお金を要求する特殊詐欺の一種です。

 

老人ホーム入居権詐欺はもともと、2014年~2015年度にかけて急増ましたが、その後は減少傾向にありました。

しかし2022年に入り急激に増加し、2023年度も増加傾向が続いているため、非常に注意が必要です。

 

そこでこの記事では、老人ホーム入居権詐欺の手口や被害事例、対策について、解説していきます。

 

老人ホーム入居権詐欺の被害が再び増加傾向に

 

老人ホーム入居権詐欺は、「老人ホーム入居権が当たりました」といった話を電話で持ち掛け、様々な名目でお金を要求する特殊詐欺の一種です。

 

2022年度に入り、老人ホーム入居権詐欺が急増していいるため、非常に注意が必要です。

 

老人ホーム入居権詐欺に関する相談件数

国民生活センターのデータを元に作成

 

老人ホーム入居権詐欺は、2014年度をピークに減少傾向にあったものの、2022年度には一転して前年度比9倍ほど増加、2023年度9月時点でも500件を超える被害相談が寄せられています。

 

老人ホーム入居権詐欺が再び増加した背景には、ここ数年は老人ホーム入居権詐欺が減少傾向であったことから高齢者の警戒心が薄れたことも要因の一つではないかと考えられています。

 

そこで事項では、老人ホーム入居権詐欺の手口についてご紹介します。

 

 

老人ホーム入居件詐欺の手口とは

老人ホーム入居件詐欺の手口とは

 

老人ホーム入居詐欺では、ハウスメーカーや大手建設会社、大手証券会社などを名乗り、「老人ホームの入居権が当たった」「老人ホームの入居権を譲ってもらえないか」などと持ち掛けた後、複数の人物が登場する「劇場型の勧誘」で被害者を騙す手口が多く見られています。

 

そこで、事例を踏まえながら老人ホームの入居権詐欺の手口をご紹介します。

 

 

老人ホーム入居権詐欺の手口1

 

詐欺師A

あなたに老人介護施設の入居権があるのですが、入居希望がなければ、入居を待っている人にあなたの名義を貸してくれませんか?

 

被害者

入居予定はないので、利用したい方がいるなら使ってもらって構いませんが…

 

------後日------

 

詐欺師B

名義貸しは犯罪です。このままではあなたは警察に逮捕されてしまうので、保証金を支払ってください

 

 

「老人ホームの入居権を他者へ譲ってもいいですよ」という被害者の承諾を得た後に、別の詐欺師から「名義貸しは犯罪です」と被害者を脅すような電話をかけ、警察に逮捕されないための解決金や保証金などの名目でお金を要求する劇場型勧誘の手口です。

 

一度お金を支払ってしまうと、さらに別の名目でお金を請求される可能性も考えられます。

 

「名義貸しは犯罪です」などと脅された際は、焦ってお金を支払う前に、家族や警察に相談してください。

 

 

老人ホーム入居権詐欺の手口2

 

詐欺師A

あなたに老人介護施設の入居権があるのですが、入居希望がなければ、入居を待っている人にあなたの名義を貸してくれませんか?

被害者

いいですよ

詐欺師A

あなた本人からの申し込みだと証明するために、一時的に1000万円を振り込んでください。お金は後日、必ずお返しします。

 

 

「老人ホームの入居権を他者へ譲るため、あなたの名義を貸してください」などと持ち掛け、被害者から承諾を得られた後に、「あなた本人からの申し込みだと証明するためにお金を支払ってください」などと要求される手口です。

 

その際、「お金は後日お返しします」などと言われますが、支払ったお金は絶対に戻ってくることはありませんので、支払わないようくれぐれもご注意ください。

 

 

老人ホーム入居権詐欺の手口3

 

詐欺師A

あなたに老人介護施設の入居権があるのですが、入居希望がなければ、入居を待っている人にあなたの名義を貸してくれませんか?

被害者

入居予定はないので、利用したい方がいるなら使ってもらって構いませんが…

 

------後日------

 

詐欺師B

権利を譲るためにはいったん費用を支払う必要があります。本来は1000万円が必要ですが、800万円はこちらでなんとかするので、残り200万円を支払ってください。

被害者

そんな大金、支払うことはできません

詐欺師B

支払わないと裁判になりますよ

 

 

「老人ホームの入居権を他者へ譲ってもいいですよ」という被害者の承諾を得た後に、別の詐欺師から「入居権を他人に譲るためには手数料を支払う必要がある」などと要求され、支払いを拒否すると、「支払わない場合は裁判になります」などと言って被害者を脅しお金を要求する劇場型の勧誘手口です。

 

こうした手口でお金を要求されても支払う必要はありませんので、焦ってお金を支払わないようご注意ください。

 

 

老人ホーム入居権詐欺の被害事例

老人ホーム入居権詐欺の被害事例

 

実際に発生した老人ホーム入居権詐欺の被害事例をご紹介します。

 

老人ホーム入居権詐欺の被害事例1

 

2023年9月に報じられた、奈良県に住む70代の女性が老人ホーム入居権詐欺の被害で9300万円を騙し取られた事例をご紹介します。

 

奈良県警は9月1日、県内の70歳代の女性が現金計9317万円を騙し取られる老人ホーム入居権詐欺の被害に遭ったと発表しました。

 

県警の発表によりますと、女性は2023年4~7月、住宅会社社員を騙る男らから、老人ホーム入居権をめぐる問題解決の名目でお金を要求されたといいます。

 

女性は指示された東京都内の住所へ6回にわけて計9310万円の現金を宅配便で送ったほか、電子マネー7万円分を購入し、犯行グループへカード番号を伝えたということです。

 

県警生活安全企画課は「現金を宅配便で送ることは違法。まずは詐欺を疑ってほしい」と注意を呼び掛けています。

 

 

老人ホーム入居権詐欺の被害事例2

 

2023年9月に報じられた、「老人ホーム入居権がある」といった嘘の電話で、1565万円をだまし取られた女性の事例をご紹介します。

 

福岡県警は9月3日、福岡市に住む女性が老人ホーム入居権をめぐる偽電話詐欺の被害に遭い、現金など計1565万円を騙し取られたとして、警戒を呼びかけました。

 

警察によりますと、2023年6月ごろ、被害者宅の固定電話に男から「新しい老人ホームがでいて、あなたには入居する権利がある」と電話があり、女性が断ると続けて「他の方が入居希望されているのだが、権利を譲っていいか」と言われ、女性が了承したといいます。

 

後日、別の男らから「男が警察に捕まり、あなたも捕まるかもしれない。うちの顧問弁護士を紹介する」「裁判費用名目のお金が必要になる」などと言葉巧みに誘導し、2023年7月ごろまでに現金1550万円と15万円分の電子マネーを騙し取られたということです。

 

警察では、同じような電話で権利を譲らせた後、「あなたの行為は犯罪だ」などと迫り現金を要求する事例が全国で相次いでいるということで、注意を呼び掛けています。

 

 

 

老人ホーム入居権詐欺の対策

老人ホーム入居権詐欺の対策

 

前項でご紹介した被害事例をみると、高額被害が相次いでいることが分かりました。

 

では、老人ホーム入居詐欺の被害を防ぐためにはどうしたらよいのでしょうか。

そこで、老人ホーム入居詐欺の対策をご紹介します。

 

 

老人ホーム入居権は存在しない

 

老人ホームの入居に関する電話で、「あなたは入居権を持っています」「権利を譲ってほしい」「名義を貸してほしい」といった電話を持ち掛けられた場合は詐欺であると考えられます。

 

そもそも老人ホームの入居権というものは存在しないので、「入居権」に関する電話があった場合は100%詐欺です。

 

また、一度電話に出てしまうと詐欺師はあの手この手でお金を要求しようとしてくるため、番号非通知や心当たりのない電話番号からの電話には出ないよう、くれぐれもご注意ください。

 

そのため万が一、老人ホーム入居権に関する詐欺の電話を受け取ってしまった場合には、電話対応をせず電話を切り、警察や国民生活センターに相談するようにしましょう。

 

 

やりとりをしても絶対にお金は支払わない

 

不審な電話に出てしまい、詐欺師の話を聞いてしまっても、絶対にお金を払ったり振り込んだりしないでください。

 

詐欺師は警察に捕まる」「裁判になる」といった言葉で被害者を脅してお金を要求することもありますが、焦って支払ってしまうと大切なお金は二度と戻ってこないかもしれません。

 

少しでも怪しいと感じた場合は、家族や警察、国民生活センター等に相談してください。

 

 

国民生活センターや警察に相談する

 

特殊詐欺の認知は高まっているものの、被害は一向に減りません。

そのため、高齢者を狙った特殊詐欺を防ぐためには、ご家族や周囲の方の見守りも必要です。

 

周囲の高齢者の方で、「お金が必要」などと言っている方がいれば声をかけ、警察や国民生活センターに相談するよう勧めましょう。

 

ご本人が詐欺であると気づけていない場合には断られてしまうこともあるかもしれませんが、警察の力などを借りることで被害を未然に防ぐことができる可能性があるため、迷わず通報するようにしてください。

 

また、「怪しい電話を受けた」など、少しでもおかしいと感じることが遭った場合も、警察や国民生活センターにご相談ください。

 

 

老人ホーム入居権詐欺には要注意!

老人ホーム入居権詐欺には要注意!

 

いかがでしかでしょうか。

この記事では、老人ホーム入居詐欺の手口や被害事例、対策についてご紹介しました。

 

特殊詐欺は、常に新たな手口を用いて被害者を騙そうとします。

 

特殊詐欺の被害を防ぐためには手口や事例、対策を知っておくことがとても大切です。

また、ご家族や周囲の方が見守り、何かあったときにすぐ相談できるような環境を作ることも、特殊詐欺の被害を防ぐうえで重要なポイントです。

 

特殊詐欺の被害は、一本の電話から始まります。

そのため、非通知や知らない番号からの電話に出ないこと、常に留守電に設定するなど、簡単な対策で被害を防ぐことができますので、今一度ご自身やご家族で確認してみてください。

 

老人ホーム入居詐欺は、今後同様の手口で被害が増加していくと考えられますので、くれぐれもご注意ください。

 

振り込め詐欺の手口や返金方法は、こちらの記事をご参照ください。

振り込め詐欺の手口・返金方法

 

 

 

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