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米連邦捜査局(FBI)のインターネット犯罪苦情センター(IC3)は、高齢者をターゲットにした新たな詐欺の手口「幻のハッカー詐欺/ファントムハッカー詐欺」について、注意喚起をしています。
ファントムハッカー詐欺とは、存在しないハッカーによるサイバー攻撃が発生したように見せかけ、「ハッカー被害から資産を守るため」などと称してお金を騙し取る手口のことを言います。
この”存在しないハッカー”から、ファントム(幻の)ハッカー詐欺と呼ばれています。
果たしてファントムハッカー詐欺とは、いったいどんな詐欺なのでしょうか。
そこでこの記事では、
- ファントムハッカー詐欺とは
- 幻のハッカー詐欺の手口とは
- ファントムハッカー詐欺の対策
これらについて、詐欺返金110番が詳しく解説していきますので、ぜひご参考にしてください。
幻のハッカー(ファントムハッカー)詐欺とは
アメリカの連邦捜査局FBIでは、高齢者をターゲットにした「幻のハッカー詐欺/ファントムハッカー詐欺」というインターネット詐欺の手口が急増しているとして、注意を呼び掛けています。
ファントムハッカー詐欺は、近年被害が急増しているサポート詐欺に非常に似た手口が使われています。
サポート詐欺とは、スマートフォンやパソコンでインターネット閲覧中に、偽のウイルス感染警告画面を表示させ、偽のサポート窓口への連絡を促し、最終的にお金を騙し取る詐欺のことです。
ファントムハッカー詐欺では、電話やSMS(ショートメッセージサービス)、メールやインターネット閲覧中に、「ハッカーに侵入された」などの警告画面を表示させ、表示されている偽のサポート窓口に電話するよう促します。
そして、「ハッカーからあなたの資産を保護するため」という名目で、詐欺師の指定した口座に送金するよう指示を出し、そのままお金を騙し取るという手口が使われています。
詐欺師は、高齢者が”自身で保有している資産を守ることに敏感になっている”ことを逆手に取り、「ハッカーから資産を守るため」と称してお金を騙し取るという、非常に悪質な手口が使われているとして注意を呼び掛けています。
近年、日本でもサポート詐欺の被害が深刻化していますが、幻のハッカー詐欺の手口は馴染みがありません。
ですが、遅れて日本に上陸することも十分に考えられるため、手口を知っておくことはとても大切です。
そこで次項では、ファントムハッカー詐欺がどのような手口で行われているのか、詳しく解説します。
ファントムハッカー詐欺の手口とは
「ファントムハッカー詐欺/幻のハッカー詐欺」は、どのような手口で行われているのでしょうか。
そこで、ファントムハッカー詐欺の手口を詳しく解説していきます。
- サポート担当者を装って連絡する
- 金融機関の担当者を装って連絡する
- 米国政府機関などを装って連絡する
STEP1:サポート担当者を装って連絡する
まずはじめに詐欺師は、Microsoftのカスタマーサポートなどの実在する企業のサポート担当者になりすまし、電話やSMS・メールで「ハッカーに侵入されている可能性がある」などと連絡をします。
また、サポート詐欺と同様に、インターネット閲覧中に「ハッカーに侵入された可能性があります」といった警告を表示させ、偽のサポート窓口まで電話をするよう誘導することもあります。
被害者が偽のサポート窓口に連絡をした後は、電話口で「パソコンの状態を確認します」などと言い、遠隔操作アプリをインストールさせます。
そして、ウイルススキャンを実行するふりをして、「パソコンはハッキングされている」「ハッキングされている危険がある」と嘘をつき、被害者を脅かします。
さらに、「不正請求が行われていないかを確認するため」と称して、金融機関のアカウントにアクセスをさせます。
その理由は、被害者が最もお金を入れている金融機関を確認するためです。
STEP2:金融機関を装って連絡する
詐欺師は、先ほど確認した情報で、被害者が一番お金を入れている金融機関の担当者を装い、連絡をします。
そして、「外国のハッカーによって口座が不正にアクセスされている」と嘘をつき、「資産を保護するために、連邦準備銀行や米国政府機関の口座など、安全な口座に資金を移動する必要がある」と指示を出します。
その際、口座の資金を移動させる理由は他言しないよう指示を出したり、数日または数か月にわたって送金するよう指示をされたりする場合もあるようです。
STEP3:米国政府機関などを装って連絡する
最後に詐欺師は、連邦準備銀行や米国政府機関などを装って被害者に連絡をして、全ての資産を移動させるよう指示をだします。
被害者が詐欺を疑った場合でも、本当のことだと信じ込ませるために、政府の公式文書を装ったメールや書類を送付する手口が確認されています。
ファントムハッカー詐欺は、「資産を保護する」名目で、被害者が持っているすべての資産を別の口座に移動する必要があると説得し、銀行口座や貯蓄口座、投資口座など全財産を騙し取る、非常に悪質な詐欺なのです。
幻のハッカー詐欺の対策
では、幻のハッカー詐欺の被害を防ぐ対策はあるのでしょうか?
そこで、幻のハッカー詐欺の対策をご紹介します。
メールやSMS内のURLをクリックしない
ファントムハッカー詐欺にかぎらず、送られてきたメールやSMS内に添付されているリンクをクリックしたことで、マルウェアに感染したり、フィッシング詐欺の被害に遭ったりなど、様々な詐欺被害が発生しています。
中でも、実在する企業の公式メールを装って、ログイン情報やクレジットカード情報などを詐取するフィッシング詐欺も非常に危険であります。
そのため、公式と思われるものであっても、メールやSMS内のリンクをクリックしないようご注意ください。
表示されている番号に電話しない
ファントムハッカー詐欺やサポート詐欺は、とにかく偽のサポート窓口へ電話をかけるよう誘導します。
またその際、ソフトウェア会社のMicrosoftや、セキュリティ対策会社の McAfeeなどからのお知らせであると騙る手口が確認されています。
被害者が偽のサポート窓口に電話をかけてしまったら、詐欺師の思うつぼです。
なぜなら、遠隔操作を可能にするソフトウェアをあの手この手でダウンロードさせたり、金融機関の口座を確認させたりなど、すべて思うが儘に被害者を操ることができるからです。
そのため、「ウイルスの感染警告」や「ハッカーに侵入された可能性がある」といった画面が表示されても、決して電話しないようくれぐれもご注意ください。
ファントムハッカー詐欺の対処法
ではここで、ファントムハッカー詐欺に遭遇してしまった場合の対処法をご紹介します。
警告画面の消し方
ファントムハッカー詐欺で出現する偽の警告画面は、全画面に多数表示され、×ボタンをクリックしても消すことができないという特徴があります。
そのため、偽の警告画面が表示された場合は、キーボード操作で行うショートカットキーで、ブラウザを閉じてみましょう。
【Windowsをお使いの方】
Alt+F4 を同時に押す
【Macをお使いの方】
⌘+Q を同時に押す
ブラウザが閉じないようになっている場合は、タスクマネージャーからブラウザを終了させてみましょう。
- Ctrl+Alt+Delete 3つを同時に押して、スクマネージャーを選択
- 「プロセス」の中から、お使いのブラウザ(chromeやMicrosoft edgeなど)を選択し、右下の「タスク終了」を押す
電話してしまったら
警告画面に表示された偽のサポート窓口に電話をしてしまった場合は、オペレーターの指示に従わず、決してお金を支払わないようにしてください。
こちらから電話をかけることで相手にこちらの電話番号を知られてしまうため、詐欺業者から繰り返し何度も電話がかかってくることが考えられますが、応答せず着信拒否などの対応をとりましょう。
ファントムハッカー詐欺は組織的な詐欺グループだと考えられるため、支払いを催促するため色んな電話番号で電話をかけてきたり、裁判になると脅してきたりするこもありますが、ここで焦って支払ってしまえば詐欺師の思うつぼなので、すべて無視することが大切です。
ソフトをインストールしてしまったら
偽のサポート窓口に指示されたソフトウェアをインストール・遠隔操作を許可してしまった場合は、インストールしたソフトウェアをアンインストールしてください。
アンインストールの手順は、独立行政法人情報処理推進機構が詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。
また、どのソフトがインストールさせられたものなのかわからない場合は、システムの復元や初期化を実施するとよいでしょう。
もし作業で不安なことがあれば、家電量販店などに併設されているパソコン専門の修理店などに聞いてみることもおすすめです。
幻のハッカー(ファントムハッカー)詐欺に要注意
いかがでしたでしょうか。
この記事では、アメリカで被害が急増している「幻のハッカー詐欺/ファントムハッカー詐欺」について解説しました。
日本では馴染みのないファントムハッカー詐欺ですが、類似のサポート詐欺の被害が急増しており、2023年度の年間被害額が5億円を超えるほど深刻な状況となっています。
サポート詐欺の手口が進化し、幻のハッカー詐欺の手口に入れ替わり、被害がより深刻化することは十分考えられますので、くれぐれもご注意ください。
- メール、SMS内のURLリンクをクリックしない
- 警告画面に表示されている電話番号に電話しない
- 警告画面が出たら、あわてずブラウザ強制終了を
<ブラウザ強制終了の方法>
①「Alt」と「F4」を同時に押す
②「Ctrl」と「Alt」と「Delete」を同時に押す
幻のハッカー詐欺をはじめとするサポート詐欺では、スマホやPCの扱いに慣れていない高齢者の方がターゲットになる傾向にあります。
そのため、ご家族や周囲の方に、詐欺の手口をお伝えしてあげることも、被害を防ぐことにつながります。
今後の日本では、サポート詐欺から派生したファントムハッカー詐欺の手口が急増する可能性は十分に考えられるため、くれぐれもご注意ください。
サポート詐欺の手口はこちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひあわせてご参考にしてください。