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2023年に入り、カンボジアを拠点にした日本人の特殊詐欺グループが相次いで摘発されています。
もともと日本人の特殊詐欺グループは、日本国内のマンションなどを拠点にしていましたが、警察による拠点摘発が相次いだことにより、カンボジアなど東南アジアへ拠点を移す特殊詐欺グループが増加しました。
ではなぜカンボジアを拠点にした特殊詐欺グループが増えたのでしょうか。
そこで、特殊詐欺グループがカンボジアを拠点にする理由や、カンボジアを拠点にした特殊詐欺グループが摘発された事例をご紹介します。
なぜカンボジアが拠点になっているのか
なぜカンボジアを拠点にした特殊詐欺グループが増えたのでしょうか。
カンボジアは中国資本により大規模なリゾート化が進んでおり、中国人の特殊詐欺グループも蔓延していることから、日本人の特殊詐欺グループも滞在しやすい環境になっていることが考えられます。
またカンボジアは、物価が安いため経費が抑えられる、日本との時差が2時間程度、スマートフォンやSIMカードなどの通信機器が身分証なしで買えるなど、特殊詐欺グループにとって活動しやすい環境になっていることも要因の一つでしょう。
近年、カンボジアでは「好条件の仕事がある」などとして外国人を勧誘し、カンボジアに到着した直後に旅券や携帯電話等を取り上げ、無理やり不法行為を強制させる事例が報告されているようで、在カンボジア日本大使館から注意喚起がなされています。
最近、カンボジアにて好条件の仕事があるなどとして外国で希望者を勧誘し、カンボジアに到着した直後に旅券や連絡手段を取り上げ自由な外出を制限するなど監禁状態に置いた上で、当初約束していた活動とは異なる不法行為に従事させたり本人の意思に反して労働を強いるような事案が発生しており、少数ですが邦人の被害事例も報告されています。
カンボジアでの就労を検討・予定されている方は、知らず知らずのうちに特殊詐欺グループでの不法行為を強制されてしまう可能性がありますので、くれぐれもご注意ください。
カンボジアを拠点にした特殊詐欺グループの摘発事例
近年、カンボジア当局では、特殊詐欺グループの摘発に力を入れていることから、カンボジアを拠点とする特殊詐欺グループが相次いで摘発されています。
そこで、カンボジアを拠点にした特殊詐欺グループの摘発事例をご紹介します。
特殊詐欺グループの摘発事例1
2023年4月に報じられた摘発事例をご紹介します。
カンボジア南部のリゾートホテルを拠点に特殊詐欺をしていたとみられる19人の日本人が、現地警察に身柄を拘束されました。
捜査関係者によりますと、特殊詐欺グループのメンバーとみられる人物から2023年1月中旬、在カンボジア日本大使館に「拉致されて詐欺グループに捕らえられている、助けてほしい」とのSOSが届いたことが、摘発の端緒だったということです。
在カンボジア日本大使館から連絡を受けた現地警察が2023年1月下旬、メールの情報に基づいてカンボジア南部のリゾートホテルを捜索し、ホテル内にいた19人を不法滞在の疑いで拘束しました。
男らは2023年1月下旬、東京都内に住む60代女性に対し、NTTドコモを装った架空請求のメールを送り、約25万円相当の電子マネーを騙し取った疑いが持たれています。
特殊詐欺グループの摘発事例2
2023年9月に報じられた摘発事例をご紹介します。
カンボジアの首都・プノンペンのアパートを拠点に特殊詐欺をしていたとみられる20人以上の日本人が、ベトナム当局に身柄を拘束されました。
捜査関係者によりますと、在カンボジア日本大使館から、プノンペンでオンライン詐欺をする日本人がいるとの情報提供がカンボジア捜査当局にあったことから、2023年9月11日夜、カンボジアの首都・プノンペンのアパートに捜査員らが踏み込んだところ、多数の日本人が確認されたということです。
特殊詐欺の返金方法
「特殊詐欺の被害に遭ってしまった場合、返金請求をすることはできるのか?」というご相談を受けたことがあります。
結論からお伝えしますと、振り込んでしまったお金を取り返すことができる可能性は、非常に低いと考えられます。
ですが、2007年に制定された振り込め詐欺救済法により、被害金の返金が叶う可能性があります。
振り込め詐欺救済法とは、銀行振込によってお金を騙し取られた場合に警察や振込先の金融機関に連絡を行えば、振り込んだ口座を凍結し、その口座の残高や被害額に応じて、被害額の全部または一部の返金を受けられるものです。
銀行振込による詐欺被害に遭った場合は、いち早く口座を凍結することで返金を受けられる可能性が高まります。
そのため、特殊詐欺の被害に遭ってしまった際は、速やかに警察へ相談するようにしてください。
特殊詐欺には要注意!
特殊詐欺の認知度は高まっているものの、被害は減少することなく増加の一途をたどっています。
また近年では、特殊詐欺グループの指示による強盗事件が増加していることもあり、非常に深刻な事態となっています。
日本の警察も特殊詐欺グループの摘発に力を入れていることから、今後も日本を拠点にした組織だけでなく、海外を拠点にした特殊詐欺グループが次々に摘発されていくと考えられます。
特殊詐欺は、被害に遭った場合の返金解決が非常に難しいだけでなく、高額被害に遭う方が多い傾向にあるため、注意が必要です。
特殊詐欺の被害に遭わないためには、事前に手口や事例を知っておくことや、何かあったときに家族や友人にすぐ相談できる環境を作っておくことが大切です。
この記事を通して、特殊詐欺の被害を防ぐ一助になれば幸いです。
特殊詐欺の詳しい手口は、こちらの記事をご覧ください。