目次
登録者数90万人を超える人気TikTokerが、株式会社Tマネーと三井住友銀行のキャッシュバックキャンペーンを装った詐欺案件を紹介していたことが発覚し、自身のInstagramアカウントで謝罪しました。
また同時期に、登録者数100万人を超えるカップルユーチューバーも、同様の詐欺案件を紹介していたことも発覚。
調べてみたところ、三井住友銀行のVポイントと株式会社TマネーのTポイントは、2024年春に統合することが発表されており、実際に統合記念キャンペーンを実施していたことが分かりました。
今回の詐欺案件は、これに乗じたものだったと考えられます。
今回発生したインフルエンサーによる詐欺案件の紹介事例は、「知名度の高いインフルエンサーに紹介された案件であれば詐欺であると疑わない」消費者の心理を悪用した、非常に悪質な詐欺手口です。
では、インフルエンサーによる詐欺案件の紹介事例は、なぜ起こってしまったのか、どうしたら防げるのか、これらについて解説します。
インフルエンサーによる詐欺事件の概要
事の発端は、人気TikToker(以下Yさん)が自身のInstagramストーリーズで、三井住友銀行と株式会社Tマネーの統合を記念したキャッシュバックキャンペーンを紹介したことでした。
- インフルエンサーのストーリーズで詐欺案件が紹介される
- リンクからLINE追加へ誘導される
- LINE追加後は業者と直接やり取り
- 最終的にアイフルで口座開設・IDやパスポートを聞き出され、勝手にお金を引き出される
ストーリーズ内では、「大企業同士の世界規模案件」「大企業だから個人情報の取り扱いも安心」と説明し、「登録すると3万1000円分のキャッシュバックがある」と宣伝していたといいます。
そして、「このストーリーから登録してくれた方の”限定キャンペーン”だから最高のチャンスを見逃さないでね」と締めくくり、企業のLINE追加へと勧誘。
LINE追加後は、業者と直接やり取りする流れになっており、LINEのやり取りを進めると、専用のURLから口座開設登録へと誘導され、最終的にアイフルで口座開設をさせたうえでIDやパスポートを聞きだし、勝手にお金を引き出されるという被害が発生することとなりました。
この際、被害者側の「なぜアイフルで口座開設をする必要があるのか」という質問に対し、詐欺業者側は「今回のキャッシュバックイベント主責任会社となるからです」と返信しており、「不利益などは一切発生しない」と被害者を安心させるような言葉でやり取りを続けていました。
この詐欺案件を紹介したYさんは、詐欺案件であると知らずに紹介してしまったということです。
ではなぜ、詐欺案件と気づかずに案件を紹介することになったのでしょうか。
次項ではその経緯を解説します。
詐欺案件を紹介してしまった経緯とは
今回の案件は、Tポイントの運営会社を騙るインスタグラムアカウントから提案があったことがきっかけだったようです。
しかし、案件を紹介されたインフルエンサーは、企業の担当者と電話でのやり取りや契約書も交わしておらず、企業のアカウントが本物かどうかも確認していなかったといいます。
この詐欺案件を紹介してしまったカップルユーチューバーや人気TikTokerは、Tポイントの運営会社を騙るインスタグラムアカウントのDM(ダイレクトメッセージ)内では、公式アカウントのリンクが貼付されていたことから、偽のアカウントであると気づけなかったと話しているということです。
この詐欺事件で発生する被害内容とは
今回ご紹介しているインフルエンサーによる詐欺案件事例で発生する被害は、どんなものが考えられるのでしょうか。
考えられる被害内容を解説します。
知らぬ間に借金を背負う可能性がある
今回の詐欺案件の紹介事例では、業者側とのやり取りを進めていくと、最終的に消費者金融の口座を開設させられ、IDやパスポートを教えてしまうと勝手にお金を引き出されてしまうという被害が発生しています。
現時点で発覚している被害総額だけでも330万円を超えており、中には被害に気付かず借金を背負ってしまっている方がいる可能性も考えられます。
また、被害者の証言によりますと、勝手に借りられたお金は5年払いになっており、18%の利子がついていたといいます。
アイフルでは、SNSを活用した詐欺への注意喚起をしています。
SNS等でキャンペーンを装いアイフルで契約するよう誘導し、現金をだまし取る詐欺にご注意ください。
インフルエンサーのインスタグラムのストーリーの閲覧者を当社のHPや申込フォームに誘導し、申込完了後に借入に必要となるIDやパスワード、認証コードを要求、閲覧者が意図しない第三者が現金をだまし取る事案が発生しております。
インフルエンサーによる案件以外でも、同様の手口で消費者金融の口座を開設するよう誘導された場合は詐欺であると考えられるため、くれぐれもご注意ください。
個人情報が流出する
今回の詐欺事例では、LINEの友だち追加後に業者側から個人情報の提出を求められていました。
大企業を騙っていますが、実際は詐欺業者であったことから、送信してしまった個人情報の流出・横流しされることは容易に考えられます。
そのため、詐欺のキャンペーンと気づかず個人情報を入力してしまった方は、別の詐欺の被害に巻き込まれるも可能性あるため、注意が必要です。
「インフルエンサー=信用できる」存在ではない
今回の詐欺事例は、消費者側の「インフルエンサーが紹介している=信用できる」という心理を悪用した手口だと考えられます。
インフルエンサーは事務所に所属していることが多く、紹介する案件は事務所が精査していること場合もあるため、未然に詐欺案件を防ぐことができると考えられます。
ですが今回のインフルエンサー2組は、どちらも事務所へ所属しておらず、フリーで活動していたことが分かりました。
フリーで活動しているインフルエンサーは、個人で仕事を選ぶことができるため、案件の精査が甘くなってしまう傾向にあるかもしれません。
そこを見越したうえでの人選だったのではないかとと考えられます。
今回の事例でインフルエンサーが紹介する案件全てが安全ではないことが明確に判明したため、消費者側も盲目的に信じるのではなく、怪しいと感じたら詐欺を疑い、商品購入や会員登録といった誘導に従わないようご注意ください。
消費者金融で勝手に借金された場合の対処法
今回の事例において、「勝手に消費者金融で借金された場合、返済義務はあるのか?」というご相談が寄せられました。
結論からお伝えしますと、債務が免除される可能性は低く、返済義務が生じるのではないかと考えられます。
なぜなら、第三者へIDやパスワードを教える、または第三者から指定されたIDやパスワードを使用する、といった行為は被害者側に重大な過失があったと認められると考えられるからです。
また、日本貸金業界は、自ら操作して消費者金融に口座を開設し、IDやパスワードも自らの意思で教えている場合、一般的には補償の対象とならないとしており、騙されて借り入れをされた場合でも、返済義務は残るとの見解を示しています。
では、被害に遭った場合どうしたらよいのでしょうか。
今回のような詐欺案件の被害に遭った方は、「警察へ被害届を出す」ことが正しい対処法といえるでしょう。
同様の手口で被害に遭った方もたくさんいらっしゃるため、警察が犯人逮捕へ動く可能性があります。
そのため、詐欺業者に個人情報を入力してしまった方や、勝手に借金された方は、速やかに警察へ相談、被害届を提出することをおすすめします。
インフルエンサーによる詐欺案件には要注意!
今回のインフルエンサーによる詐欺案件の紹介事例では、詐欺は身近に潜んでいるということがよくわかるような事例だったのではないでしょうか。
「インフルエンサーが紹介している案件=安全」という概念が大きく崩れる事例であったと考えられます。
インフルエンサー側はより一層、案件の精査や詐欺事案の排除といった努力を行うこともちろん、消費者側も盲目的に信じるのではなく、少しでも怪しい、おかしいと感じた場合には詐欺を疑うことも大切です。
今後も同様の手口でインフルエンサーが知らずに詐欺案件を紹介する事例は増えていくと考えられますので、くれぐれもご注意ください。