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2023年度の特殊詐欺は、全国的に認知件数や被害額ともに前年度を大幅に上回っています。
特殊詐欺被害が増えた要因として、SNSを通じた投資詐欺の被害が急増したことや、なりすまし詐欺による被害が急増したことが挙げられます。
そこでこの記事では、2023年11月に報じられた、警察官になりすました男からの電話でお金を騙し取られた女性の被害事例をご紹介します。
特殊詐欺の被害事例
長野県に住む80代の女性が、警察官を名乗る男に約3500万円をだまし取られる詐欺被害が発生しました。
2023年10月下旬、長野市に住む一人暮らしの女性の自宅に警察官を名乗る男から、「あなたの口座番号が盗まれました。持っている全てのお金を指定する銀行口座に移してください」と電話がありました。
女性は、男から指定された金融機関に自分名義の口座を開設し、5回にわたってその口座へ計3577万円を振り込んだということです。
その後、男と連絡がとれなくなったことを不審に思った女性が警察に相談し、口座の残高を確認したところ、すでにほぼ全額が別の口座に振り込まれていたことが分かりました。
警察は、電話でお金に関する話をされたら詐欺を疑い、家族や警察に相談するよう呼び掛けています。
特殊詐欺のポイント解説
今回ご紹介した特殊詐欺の被害事例をもとに、特殊詐欺のポイントを解説します。
警察官を騙る男からの電話
近年の特殊詐欺では、警察官を騙る人物からの電話がきっかけで特殊詐欺の被害に遭う事例が急増しています。
「あなたの口座が犯罪に使われている」
「あなたの携帯電話番号が特殊詐欺に使われている」
「マイナンバーカードが犯罪利用されている」
などと警察官を騙る人物から電話があり、逮捕を免れるための保証金などを要求される事例が相次いで確認されています。
そのため、
- 口座や携帯電話、マイナンバーカードなどが犯罪利用されている。あなたも共犯容疑で逮捕する
- あなたの口座番号が盗まれた
などの電話を受けた際は、すぐに家族や警察に相談し、決してすぐにお金を支払わないようくれぐれもご注意ください。
ファントムハッカー詐欺の類似手口
今回ご紹介した被害事例は、近年アメリカで被害が急増しているファントムハッカー詐欺(幻のハッカー詐欺)の手口に非常によく似ているため、注意が必要です。
ファントムハッカー詐欺とは、存在しないハッカーによるサイバー攻撃が発生したように見せかけ、「ハッカー被害から資産を守るため」などと称してお金を騙し取る手口のことを言います。
「あなたの資産を保護するため」という名目で、詐欺師の指定した口座に持っている資産をすべて送金するよう指示を出し、そのままお金を騙し取る手口が使われています。
今回ご紹介した被害事例では、男から指定された金融機関に女性自身の名義で口座を開設し、その口座へお金を振り込んだということでした。
自分名義の口座を開設させることで、お金を送金することの不信感などを抱きにくくなることから、非常に巧妙な手口が使われていることがわかります。
そのため、「資産を保護するために資産を移動させてください」といった内容の電話があった場合は詐欺なので、すぐに家族や警察に相談してください。
一人暮らしの高齢者
特殊詐欺の被害で一番注意が必要なのが、一人暮らしの高齢者です。
なぜなら、一人暮らしの高齢者は周囲にすぐ相談できる環境がない場合が多いからです。
ご家族に一人で暮らしている高齢者の方や、身近に単身の高齢者がいる場合は、特殊詐欺への注意喚起はもちろん、「怪しい電話を受けたらすぐに警察に相談・通報すること」をぜひ伝えてください。
特殊詐欺には要注意!
2023年度の特殊詐欺発生件数や被害額は、全国的に前年度を上回っているため、非常に注意が必要です。
特殊詐欺の被害を防ぐためには、事前に手口や事例を知っておくことに合わせて、「常に詐欺であると疑う気持ちを持つ」ことがとても大切です。
- 見知らぬ番号からの電話に出ない
- お金に関する話があった場合、すぐに警察や家族に相談する
家族や大切な人を詐欺被害から守るためにも、各ご家庭で今一度、詐欺の手口や被害について話し合ってみてください。
また例年、年末年始には還付金詐欺が急増する傾向にあるため、あわせてご注意ください。
還付金詐欺の詳しい手口はこちらの還付金詐欺になぜ騙される?巧妙な手口や還付金詐欺の見分け方を解説記事で詳しくご紹介していますので、ご参考になれば幸いです。