目次
日本国内においてオンラインカジノの利用は違法であるにもかかわらず、オンラインカジノの利用客が急増しています。
その背景には、コロナ禍で在宅時間が増え、スマートフォンがあればできるギャンブルとして広がったことや、大規模なオンラインカジノ市場だった中国でアクセス規制が強化されたことから、海外のカジノサイト運営者が日本をターゲットにしはじめたことがあるようです。
一方で、警察はオンラインカジノの利用客や関連業者に対しての摘発を強化しており、今後はオンラインカジノに関する逮捕事例は急増していくと考えられます。
そこでこの記事では、全国で初めてオンラインカジノ決済代行業者が摘発された事例と、事件の詳細について解説していきます。
オンラインカジノ決済代行業者の逮捕事例
海外で運営されているオンラインカジノに掛け金を送金するなどしていた決済代行業者の二人が、客の賭博行為を手助けしたとして常習賭博ほう助の疑いで逮捕されました。
掛け金の出入金システム「SUMO PAY(スモウペイ)」を国内で運営し、提携する海外カジノ運営業社に送金していたとみられています。
このスモウペイでは、入金された金をカジノで使えるポイントに変換したり、払い出したりできるシステムを運用し、オンラインカジノの数サイトで使われていたといいます。
また、SUMO PAYの業務を手伝っていたとされる入金の担当者ら男女5人についても、常習賭博ほう助の疑いで書類送検されました。
手軽にスマホなどからお金を掛けることができるオンラインカジノは近年利用者が急増していますが、オンラインカジノの運営業者は海外拠点であることから摘発は困難とされてきました。
しかし、利用客の掛け金の決済代行などは国内業者が関与しているケースが多いため、客の送金履歴などの捜査から決済代行業者を特定したということです。
逮捕容疑は2021年7月~2022年7月、オンラインカジノの利用客18人の掛け金を、SUMO PAYを使ってカジノ運営者に送金するなどして賭博を手助けしたとしています。
スモウペイの顧客データには約4万2000人が登録されており、海外のオンラインカジノ運営者から利用客の入金額の2~3%を手数料として、計21億5000万円を受け取っていたとみられるということです。
オンラインカジノの決済代行業者が常習賭博ほう助罪で摘発されるのは全国で初めてだといいます。
警視庁は、20代~50代の利用客18人についても、単純賭博の疑いで書類送検しており、「オンラインカジノを利用することは犯罪なので、絶対にやめてほしい」と注意を呼び掛けています。
オンラインカジノ決済代行業者摘発事例の詳細を解説
まずはじめに知っていただきたいことは、日本国内でオンラインカジノを運営・利用することどちらも違法であるということです。
オンラインカジノを紹介するサイトなどでは、
- オンラインカジノは違法でも合法でもないグレーゾーン
- 海外で合法的に運営されているオンラインカジノは日本で利用しても賭博罪に当たらない
など、誤った情報が拡散されており、非常に危険です。
警視庁のホームページでも、オンラインカジノを利用することは犯罪であると明言されています。
オンラインカジノを利用した賭博は犯罪です
オンラインカジノを運営した場合、賭博場開帳図利罪で3月以上5年以下の懲役が科せられます。
オンラインカジノを利用した場合、賭博罪で50万円以下の罰金または科料、常習的に賭博を行っていた場合は、常習賭博罪で3年以下の懲役が科せられます。
罪名 | 罰則 |
賭博罪 刑法185条 | 50万円以下の罰金または科料 |
常習賭博罪 刑法186条1項 | 3年以下の懲役 |
賭博場開帳図利罪 刑法186条2項前段 | 3月以上5以下の懲役 |
したがって、日本国内で運営されているオンラインカジノを利用した場合でも、賭博罪または常習賭博罪で処罰される可能性がありますので、くれぐれもご注意ください。
では、摘発されたスモウペイは一体どんな業者だったのか、賭博場開帳図利罪や賭博罪に該当しないオンラインカジノ決済代行業者がなぜ逮捕されたのか、について解説していきます。
摘発された「スモウペイ(SUMO PAY)」とは?
スモウペイとは、利用者とオンラインカジノサイト間の入出金を仲介する決済代行サービスです。
オンラインカジノサイトの利用は日本国内では違法とされているため、国内の銀行やクレジットカード会社と直接やり取りをすることはできません。
そこで登場するのが、決済代行業者です。
(出典:東京新聞WEB)
カジノサイト側が決済代行業者を利用しない場合、利用客は海外の銀行口座を開設したり、仮想通貨を使って送金するなど、複雑な取引を求められます。
一方で、カジノサイト側が決済代行業者を利用する場合、利用客は複雑な手間をかけることなくオンラインカジノへ送金することができます。
そのため、決済代行業者の存在は、オンラインカジノでの違法な賭けを助長する存在であるという指摘が以前からありました。
そこで警察は、常習賭博ほう助の疑いでオンラインカジノ決済代行業者の逮捕・摘発に踏み切ったと考えられます。
多くのオンラインカジノサイトは海外を拠点に運営されていることから、オンラインカジノの運営側を日本の法律で罰することはできません。
ですが今回、オンラインカジノサイトの決済代行業者を常習賭博ほう助の疑いで立件、利用客18人を単純賭博の疑いで書類送検したことで、オンラインカジノで掛ける行為は違法だと強く警鐘を鳴らすとともに、決済代行業者を検挙することで違法な金の流れを断ち切ることにつながるとして、今後はより一層、オンラインカジノへの取り締まりが強化されていくと考えられます。
日本国内でオンラインカジノの利用はおやめください
繰り返しにはなりますが、海外で合法的に運営されているオンラインカジノサイトであったとしても、日本国内でオンラインカジノを利用することは違法です。
今回ご紹介したオンラインカジノ決済代行業者の逮捕を皮切りに、その他のオンラインカジノ決済代行業者の摘発に本腰をいれていくことが考えられると同時に、オンラインカジノ利用客の摘発事例も増えていくと考えられます。
オンラインカジノサイトを利用している方の中には、海外のオンラインカジノサイトを利用することは違法ではなくグレーゾーンであると勘違いしている方が多くいらっしゃいます。
オンラインカジノは、スマートフォン一つで場所や時間を選ばずにギャンブルができるため、依存症になりやすいだけでなく、賭博罪で逮捕される可能性があります。
また、オンラインカジノを利用した詐欺行為も横行しているため、知らぬ間に詐欺被害者となってしまうことも考えられるため、オンラインカジノを安易に利用することは絶対にやめましょう。
オンラインカジノ詐欺の手口はこちらの記事で詳しくご紹介しているため、合わせてご参照ください。