目次
高齢者を狙う特殊詐欺の被害が後を絶ちません。
そこでこの記事では、
- 特殊詐欺の被害者全体に占める高齢者の割合
- 被害者の8割以上が高齢者の特殊詐欺とは
- 高齢者が狙われる理由
- 特殊詐欺の被害を防止する対策5選
- 特殊詐欺の被害における返金請求の可否
について、解説していきます。
特殊詐欺の被害者全体に占める高齢者の割合とは
警察の発表によりますと、令和4年(確定値)の特殊詐欺発生状況は、認知件数17,570件(前年比+3072、増減率+21.2%)、被害額370.8億円(前年比+88.8億円、増減率+31.5%)と、前年に比べて被害が増加したことが分かりました。
65歳以上の割合(%) | 男(%) | 女(%) | |
特殊詐欺全体 | 86.6% | 23.5% | 76.5% |
オレオレ詐欺 | 98.2% | 19.0% | 81.0% |
預貯金詐欺 | 98.7% | 9.0% | 91.0% |
架空料金請求詐欺 | 54.6% | 52.1% | 47.9% |
還付金詐欺 | 84.8% | 32.5% | 67.5% |
融資保証金詐欺 | 9.9% | 83.3% | 16.7% |
金融商品詐欺 | 35.5% | 63.6% | 36.4% |
ギャンブル詐欺 | 52.0% | 69.2% | 30.8% |
交際あっせん詐欺 | 25.0% | 100.0% | 0.0% |
その他の特殊詐欺 | 21.4% | 66.7% | 33.3% |
キャッシュカード詐欺盗 | 98.8% | 13.7% | 86.3% |
出典元:警視庁「特殊詐欺認知・検挙状況等(令和4年・確定値)について」
特殊詐欺全体で、高齢者の被害が8割を占めています。
中でも、オレオレ詐欺、預貯金詐欺、還付金詐欺、キャッシュカード詐欺盗の被害が目立っています。
次項では、65歳以上の被害者が80%以上を占める、オレオレ詐欺、預貯金詐欺、還付金詐欺、キャッシュカード詐欺盗についてご紹介します。
被害者の8割以上が高齢者の特殊詐欺とは
ではここで、高齢者の被害者が8割を占める特殊詐欺をご紹介します。
オレオレ詐欺
オレオレ詐欺とは、電話を利用して家族・警察官・弁護士・病院などを装い、家族が起こした事件・事故に対する示談金などの名目で、現金を騙し取る手口です。
「携帯電話番号が変わった」「風邪ひいて声が変わった」などの言葉は、家族になりすました詐欺師の常套句ですので、こういった内容の電話にはくれぐれもご注意ください。
オレオレ詐欺については、こちらの記事で詳しく解説していますので、あわせてご参照ください。
預貯金詐欺
預貯金詐欺とは、警察官や金融機関、役場の職員などを装い、キャッシュカードの交換が必要などと嘘をつき、預貯金通帳などを騙し取る手口です。
自治体や銀行協会、警察官などの職員が暗証番号を聞くことは絶対にありません。
また、キャッシュカードを預かりに来ることは絶対にありません。
「払戻し金がある」「キャッシュカードを取り換える必要がある」は、預貯金詐欺の常套句ですので、くれぐれもご注意ください。
預貯金詐欺については、こちらの記事で詳しく紹介していますのであわせてご参照ください。
還付金詐欺
還付金詐欺とは、公的機関や金融機関を名乗り、税金等の還付が受けられると謳い、ATMを操作させ、お金を騙し取る手口です。
公的機関や金融機関が、還付を知らせる電話をかけることは絶対にありません。
また、公的機関や金融機関の職員が、ATMを操作するよう指示をすることも絶対にありません。
還付金が受け取れるといった内容の電話は詐欺なので、信じないようご注意ください。
還付金詐欺については、こちらの記事で詳しくご紹介していますので、あわせてご参照ください。
キャッシュカード詐欺盗
キャッシュカード詐欺盗とは、警察官や銀行職員などになりすまし、「キャッシュカードが不正に利用されている」「預金を保護する手続きをする」など嘘の説明をしたうえで、キャッシュカードを盗み取る手口です。
警察官や銀行協会などの職員がキャッシュカードを預かりに来ること・封筒に入れさせること絶対にはありません。
キャッシュカード詐欺盗では、キャッシュカードを保護する名目で封筒に入れ、目を離した隙に偽のカードとすり替えます。
そのため、どんな理由であっても、「キャッシュカードを預かります・保護します」といった内容は100%詐欺ですので、くれぐれもご注意ください。
キャッシュカード詐欺盗については、こちらの記事で詳しく紹介していますので、あわせてご参照ください。
高齢者が狙われる理由
高齢者が詐欺の被害に遭いやすい理由は、主に3つあると考えられます。
- 自宅にいることが多いから
- 犯罪情報を知らないから
- 相談できる環境がないから
では、それぞれ解説していきます。
自宅にいることが多いから
振り込め詐欺をはじめとする特殊詐欺のほとんどは、電話がきっかけです。
高齢者の多くは自宅で過ごす時間が長い分、自宅の固定電話に出る機会も多くなるため、詐欺被害に遭いやすい環境であると考えられます。
犯罪情報を知らないから
若い世代は、犯罪情報を含む最新の社会情勢などはスマホから知ることができます。
普段インターネットを使用することが少ない高齢者は、最新の犯罪手口や被害事例を知る機会が少ないため、騙されやすい環境になっているのではないかと考えられます。
相談できる環境がないから
子どもと同居する高齢者は減少しており、単身や夫婦のみで暮らしている高齢者の割合は増加しています。
特に、身近に相談できる家族などがいない一人暮らしの高齢者は、被害に遭いやすいとされています。
周りに相談できる環境がないが故、詐欺の被害に遭ってしまうケースは多数あります。
次項では、特殊詐欺の被害を防ぐ方法をご紹介します。
特殊詐欺の被害を防ぐ対策5選
では、特殊詐欺の被害に遭わないためにはどうしたらよいのでしょうか。
そこで、特殊詐欺の被害に遭わないためにできる対策を5つご紹介します。
知らない番号からの電話に出ない
知らない番号からの電話に出ないことが基本です。
また、あわせて常に留守番電話機能を設定する、迷惑・悪質電話防止装置付きの電話機を活用することで、特殊詐欺をはじめとする様々な詐欺被害に遭う可能性をグッと減らすことができます。
自宅に固定電話を設置している方は、電話の防犯対策を見直してみるとよいでしょう。
お金の話が出たらまずは事実確認をする
「すぐにお金を振り込んでほしい」などと言われても、電話の相手が本物なのか、事実確認をすることが大切です。
まずは本人に確認、家族や警察に相談してみましょう。
普段から家族間で連絡を取り合っておく
家族間で、お互いの勤め先の番号や勤務時間帯、仕事内容などの詳細情報を共有し、連絡を取り合うことが大切です。
また、怪しい出来事が起こった際に、家族にすぐ相談できる環境も、とても大切です。
とくに高齢者の方は、孤独で抱え込んでしまう方も多くいらっしゃいます。
家族で支えあいながら、詐欺被害から身を守りましょう。
詐欺の手口を知っておく
詐欺の被害に遭わないためには、詐欺の手口を事前に知っておくことがとても大切です。
詐欺の手口は巧妙化しており、どんどん新しい手口で詐欺被害が生まれています。
詐欺の手口を家族間で共有したり、ニュースを見たりしながら、常に新しい情報を知っておくことを心がけるとよいでしょう。
暗証番号や個人情報を教えない
クレジットカードやキャッシュカードの暗証番号、メールアドレスや住所などの個人情報は、第三者に教えないようにしましょう。
警察を名乗っていても、銀行職員を名乗っていても、クレジットカードや通帳、印鑑などは決して渡してはいけません。
特殊詐欺被害は返金請求できる?
「特殊詐欺の被害に遭ってしまった場合、返金請求をすることはできるのか?」というご相談を受けたことがあります。
結論からお伝えしますと、振り込んでしまったお金を取り返すことができる可能性は、非常に低いと考えられます。
ですが、2007年に制定された振り込め詐欺救済法により、被害金の返金が叶う可能性があります。
そのため、振り込め詐欺の被害に遭ってしまった際は、速やかに警察へ相談するようにしてください。
高齢者を狙った特殊詐欺には要注意!
高齢者を狙う特殊詐欺の被害を未然に防ぐためには、詐欺の手口を事前に知っておくことだけでなく、身近な人による助けも必要不可欠です。
また、「自分が詐欺に遭うはずがない」といった自身を捨てる勇気を持つことが大切です。
「どんな話も、全て詐欺かもしれないと疑う気持ち」を持ち続けることが、詐欺被害を防ぐことにつながるからです。
特殊詐欺の被害に遭ってしまった場合は、速やかに警察へ相談してください。
当サイトとしての願いは、特殊詐欺が撲滅することです。
この記事を通して、特殊詐欺の被害に遭う方が一人でも減ることを願っています。