中古車販売業者による保険金不正請求問題を分かりやすく解説
 

目次

 

中古車販売業者による保険金不正請求問題が大々的に報じられたことから、中古車販売業者に対して不信感を抱いた方も多いのではないでしょうか。

 

中古車販売業者による保険金不正請求問題では、利用客が事故に遭った車を修理してほしいと持ち込んだ際、事故車をさらに傷つけて、保険会社から修理代金を不正に受け取ったとされ、大きな問題としてメディアに取り上げられました。

 

そこでこの記事では、なぜこの保険金不正請求問題が発覚したのか、どのような経緯でここまで大々的に報じられることになったのかについて、解説します。

 

中古車販売業者による不祥事の発覚経緯とは

中古車販売業者による不祥事の発覚経緯とは

 

2023年7月、中古車販売業者(以下よりB社とする)による保険金不正請求問題が発覚し、メディアで大々的に報じられました。

 

B社による不祥事は、2023年7月に報じられる以前からSNSや口コミで度々話題に上がっていたこともあり、なぜ今更メディアで大きく取り上げられたのか不思議に感じる方もいらっしゃるかもしれません。

 

ではなぜ、今まで報じられてこなかったB社による不祥事が、ここまで大きく報道されることになったのでしょうか。

そこで、B社の不祥事が発覚した経緯を解説します。

 

 

2016年12月:社員への罰金制度が発覚

 

2016年12月、社員への罰金制度が発覚したことが、一部のメディアで報じられました。

 

中古車販売大手のB社では、自動車保険の契約について月間目標額が定められており、目標を下回った販売店の店長が、上回った販売店の店長に現金を支払う慣行があったことが、報道機関の取材によって判明しました。

 

この問題が一部メディアで報じられた際、B社の顧問弁護士や総務部の担当者は「会社が強制したものではなく、店長間で慣習的に行われていただけであり、違法性はないと認識している。」と話しており、あくまで会社は関与していないという姿勢を一貫していました。

 

社員への罰金制度が発覚した2016年12月、B社は店長間での現金の授受を中止したといいます。

 

 

2021年秋:最初の内部告発

 

2021年秋に、B社の従業員から損害保険の業界団体に「上長の指示で過剰な自動車の修理をし、その費用を保険会社に請求している」といった旨の内部通報がありました。

 

内部通報がきっかけで2022年夏に損保会社3社がサンプル調査を実施した結果、全国にある33の整備工場のうと25の工場で、水増し請求の疑いがある案件が80件見つかったということです。

 

しかし、B社側は「連携不足やミスが原因であり、組織的な不祥事ではない」として、故意に行った問題ではないと主張しました。

 

その後もB社の社員が社長へ不正を告発するも、対応されず揉み消されていたということです。

 

 

2023年1月:特別調査委員会の設置

 

2023年1月、損保協会による外部弁護士を交えた第三者委員会による調査の申し入れや、一部のマスコミ報道を受け、ようやくB社は第三者による特別調査委員会を設置しました。

 

 

2023年2~3月:不正車検問題が発覚

 

2023年2~3月にかけて、車検が不正に行われていたことなどを理由に、B社の3店舗が行政処分を受けていたことが発覚しました。

 

確認された違反は、車検の検査項目である速度計の誤差の検査を実施していないにもかかわらず、58台の車両について、基準に適合しているとして保安基準適合証を交付したものです。

 

その他にも複数の法令違反行為が確認されたといい、確認された法令違反行為以外でも多くの不正が行われていたのではないかと考えられています。

 

車検不正問題に関しても、B社側は店舗側の責任であるとし、会社としての関与を否認していました。

 

 

2023年7月:保険金不正請求が大きく報道される

 

2023年7月、特別調査委員会のサンプル調査により、再び保険金不正請求が発覚しました。

 

損保会社3社からB社に対し、保険金の返還を求める訴えがあったことが、B社の保険金不正請求問題が大きく報道されるきっかけとなりました。

 

保険料不正請求問題以外にも、パワハラ問題など様々な不祥事が次々と明らかになり、中古車販売業者の信頼を大きく揺るがす事件となりました。

 

 

保険金不正請求は罪に問えるのか?

保険金不正請求は罪に問えるのか?

 

B社が行っていたとされる故意に車体を傷つける行為は、罪に問えるのか?という疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

車体を故意に傷つけた場合には、刑法261条の「器物損壊罪」が成立するのではないかと考えられます。

また、わざと車を傷つけたうえで修理代金を不正に請求した場合には、刑法第246条の「詐欺罪」に当たる可能性があると考えられます。

 

保険金不正請求問題は、利用客に直接的な損害がないと感じられるかもしれませんが、実は知らず知らずのうちに被害に遭っている可能性があるのです。

なぜなら、利用客と保険会社の契約により、保険金でカバーできない修理代金が生じた場合は、利用者も被害者となり得るからです。

また、故意に傷がつけられた場合でも、きちんと修理がされていればどんな損害を受けたか立証することが難しいとされています。

 

今回のB社による保険金水増し請求問題の被害者は、保険会社だとされていますが、中には保険会社も不正を知っていたのではないかという声も上がっており、保険会社においても対外的な説明責任が求められています。

 

 

中古車販売業者による保険金不正請求問題のまとめ

中古車販売業者による保険金不正請求問題のまとめ

 

中古車販売業者による保険金不正請求問題は、中古車業界や保険業界全体の信頼を揺るがす事案です。

 

本来、車の修理工場がきちんと検査・修理をしてくれるという信頼と、修理工場がきちんと機能しているかを保険会社がチェックするという信頼の上で、損害賠償実務は成り立っています。

 

今回、保険会社は被害者の立ち位置とされていますが、保険会社の管理体制の甘さも問題視されていくと考えられます。

 

また、新たな報道では、B社以外の中古車販売業者による不正が続々と発覚しています。

 

中古車販売業界全体の信頼が大きく失墜し、利用客にとっては不安が残る結果となってしまいました。

業者側による不正や詐欺行為を厳しく取り締まるということは大前提ですが、利用者側も知識を持つことで、不正や詐欺の被害を防ぐことにつながります。

 

この事件をきっかけに、中古車販売業界全体がクリーンな業界になることを願うばかりです。

 

 

 

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