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原野商法は、1960年~1980年代にかけて猛威を振るった詐欺の手口です。
近年では、「原野商法詐欺」の被害事態は減少傾向にあるものの、「原野商法の二次被害」と呼ばれる新たな詐欺手口で被害が急増しています。
そこでこの記事では、
- 原野商法とは
- 原野商法の二次被害とは
- 原野商法詐欺を防ぐ対策
- 原野商法詐欺の返金方法は?
これらについて、解説します。
原野商法詐欺とは
原野商法詐欺とは、価値のない土地や山林、原野などを「将来必ず値上がりする」などと持ち掛け、不当に購入させる詐欺の手口で、1960年~1980年代にかけて被害が多発していました。
虚偽のリゾート開発や、計画段階の新幹線・高速道路建設の計画などと謳い、確実に土地が値上がりすると持ち掛けることが多くありました。
近年では、太陽光発電用地やキャンプ場などと称して、原野を高値で売りつけたり、架空の投資話を持ち掛ける事例も確認されています。
古典的な詐欺手口だと言われる原野商法ですが、近ごろ原野商法詐欺が再び急増してきているのです。
そこで次項では、原野商法の二次被害について解説します。
原野商法の二次被害とは
原野商法の二次被害とは、原野商法の被害者をターゲットにした詐欺のことです。
国民生活センターの発表によりますと、2010年から急増傾向にあり、2017年度では1,196件の被害相談があったということです。
出典:国民生活センター
2018年度以降の最新データは発表されていないものの、東京オリンピック開催の影響なども伴い、依然として被害減少に至っていないと考えられます。
では、原野商法詐欺の二次被害では、どのような手口が見られるのでしょうか。
原野商法の二次被害における手口をご紹介します。
原野の買い取りを持ち掛ける手口
原野を買い取ると勧誘し、「土地を高値で買い取る」と持ち掛け、契約内容の詳細を説明せずに「節税対策」などの名目でお金を請求する手口です。
その際、「他の土地を購入すれば節税対策になる」「購入費用は税金対策処理後に返金する」などと虚偽の説明をして、お金を騙し取ります。
具体的には、以下の様な事例が発生しています。
- 雑木林を買い取ると勧誘され、節税対策と言われお金を支払ったが実際は原野の購入と売却の契約だった
- 山林を売却する際の担保としての土地と説明されたが別の山林の購入契約だった
(引用:国民生活センター)
原野商法の被害者は自身が所有している土地に価値がないことを理解しているため、「節税対策になるなら」「価値のある土地と交換できるなら」など、原野をどうにかしたいと考える被害者心理を悪用した非常に悪質な手口です。
原野の調査を持ち掛ける手口
原野の買い取りを持ち掛け、「土地を売るために調査が必要」などと言い、調査費用や整地費用などの名目で不当にお金を請求する手口です。
具体的には、以下の様な事例が発生しています。
- 山林を購入したい人がいると説明され、調査と整地費用を払った
(引用:国民生活センター)
原野商法で土地を購入させられた被害者にとって、原野を購入してくれるということは非常にありがたいですよね。
そんな心理を悪用して、土地購入を持ち掛け調査費用などを請求してきますが、調査費用を支払っても土地を購入してくれることはありません。
土地の買い取りを持ち掛けられたにもかかわらず、逆に費用の請求をされた場合は詐欺の可能性が高いため、くれぐれもご注意ください。
原野の管理費を請求する手口
身に覚えのない管理業者から「管理費を滞納している」と電話や通知があり、不当な費用を請求される手口です。
具体的には以下の様な事例が発生しています。
- 覚えのない管理業者から別荘地の管理費20年分を支払えとの通知が届いた
(引用:国民生活センター)
請求の根拠が不明な督促については、言われるがままお金を支払うのではなく、毅然とした対応をするようにしてください。
原野商法詐欺の被害を防ぐ対策
ではここで、原野商法詐欺や原野商法の二次被害を防ぐための対策をご紹介します。
土地売却や買い取りの勧誘は即決しない
原野商法では、「将来必ず値上がりする」「リゾート開発予定地だから価値がある」といった嘘の説明で価値のない原野を購入させようとします。
また、原野商法の二次被害では、過去に購入させられた原野を買い取るなどと持ち掛け、調査費用の請求や新たな原野の購入をさせられる場合もあります。
過去に購入させられた原野は無価値であることが多いため、原野の買い取りを勧誘された場合は詐欺であると考えられます。
そのため、土地売却や買い取りの勧誘には即決せず、詳細の確認や家族に相談するなどしてください。
お金を請求されたら詐欺を疑う
「土地を買い取る」と言われているにもかかわらず、費用を請求された場合は詐欺であると考えられます。
なぜなら、正規の手続きで土地を売る場合は事前にお金が発生することはないからです。
にもかかわらず、
- 土地を売るための担保として別の土地を購入させる
- 税金対策として新たな土地を購入させる
- 土地の調査費用を請求する
といった謳い文句でお金を請求された場合は詐欺被害に遭う可能性がありますので、くれぐれもご注意ください。
原野商法詐欺の被害者かどうか
原野商法の詐欺手口にも注意が必要ですが、近年急増しているのは原野商法の二次被害による詐欺手口です。
そのため、過去に原野商法詐欺の被害にあっている、原野商法詐欺で購入させられた土地を相続している、といった方は特に注意が必要です。
見知らぬ相手、見知らぬ業者から原野の買い取りや売却について話を持ち掛けられた際は詐欺であると考え、話を鵜呑みにしないようご注意ください。
原野商法詐欺の返金方法は?
「原野商法詐欺の被害に遭った場合、返金請求できるのか?」という疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
結論からお伝えしますと、被害内容によって異なりますが、返金請求は困難である場合が多くあります。
そのため、原野商法詐欺の被害は最寄りの警察や国民生活センター、専門の弁護士にご相談いただくことで、被害回復が望めるかもしれません。
原野商法詐欺や二次被害には要注意!
この記事では、原野商法詐欺や原野商法による二次被害について解説しました。
ご自身が原野商法詐欺の被害に遭ったわけではなくても、原野を相続した場合は詐欺の被害に遭う可能性があります。
そのため、原野商法の二次被害の手口や事例を事前に知っておくことが何より大切です。
また、原野商法詐欺の返金請求以外に、相続を放棄したいといった場合には、専門の弁護士へ相談いただくと良いかもしれません。
この記事を通して、原野商法詐欺や二次被害に遭う方が減ることを願っています。
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